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満月が綺麗な夜のひと時。
互いに腐れ縁を主張するスオウとヴァレリアが酒盛りをしている間、いつも彼等の側についている者達は美味しいご飯に舌鼓をうちながら、それぞれ普段は言えない(本人に言っても効果がない)愚痴を言い合っていた。
「スオウの奴またオレ達の目を盗んで酒飲みに行きやがって! 旅の費用だって馬鹿になんねぇんだぞあの飲んだくれ野郎!」
ドン! と机にグラスを勢いよく叩きつけるアルファに、オメガがびくびくと肩を震わせる。
(ちなみに中身は果実を使って作られたジュースである)
「ア、アルファ、落ち着いて……」
「うるせぇ! 大体お前がなんでも間でもうんうん頷くからあのバカが調子に乗るんだ!」
「う、うぅ……。だってスオウ様が欲しいって言うから。お、お役に立ちたくて……」
「だからってオレが寝てる間に、財布の中身全部酒に変えてんじゃねぇぇ!」
やけ酒ならぬやけジュースのごとくがぶがぶとグラスの中身を飲み干すアルファ。
そんな彼に苦笑しながら空いたグラスに追加を注ぐのは、龍喚士としてヴァレリアから教えを受けているヴィゴだ。
「スオウ殿のお世話、大変そうだなアルファ君」
「でもオメガちゃんに当たっちゃダメでしょ。女の子は大事にしなさいよね」
泣きそうな彼女をあやしながら、ウィゴと同じ師を持つミラがアルファを注意する。
どこか天然気のある直属部隊隊長の姉と違いしっかりした性格で、小さなオメガを傍で庇っていた。
「アンタらの所は良いよな、ヴァレリアさん美人だし、ボンクラじゃないし」
「いやぁ、そーんなことないからね」
羨まし気なアルファの言葉を否定したのは、ヴィゴ達と同じ弟子のリエトだった。
「確かにウチの教官は美人だけど、そーとー気まぐれで無茶苦茶な人だよ。なぁヴィー」
「ハハッそうだな。前も修行だって言われて、魔物の巣に武器なしで放りこまれた時は死を覚悟したっけ。まぁ良い経験だったよ」
「でも師としては尊敬すべきお方よ。武器の手入れやご自分の怪我には疎くて、家事スキルも皆無だけど。それでも戦場で剣を振るう教官は誰よりもカッコいいんだから!」
「いやそれフォローになってなくねぇ?」
聞いてみればお互いそう大差はなく、怒りが萎えていったアルファは小さいため息をつく。
そんな彼に、リエトは苦笑しながらポンポンと頭をたたいてやった。
「でも、そんな相手から離れようとは思わないんだから、どうしようもないよね」
「……うるせぇ」
悪態を吐くけれど否定はしない。そんなアルファに、オメガはくすりと微笑む。
手のかかる者ほど放っておけないとはよく言ったものだ。
そんなことを考えながら、彼等はそれぞれが仕える大人達を思い浮かべた。

その翌日、酔い潰れたスオウとヴァレリアの後始末に駆り出され、やっぱり放っておいたほうが良いんじゃないかと思う少年少女の姿があったとか、なかったとか。
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