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[04/04(水)更新] 最新話を追加

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リィと共に天城へと向かう事になったティフォンは出来るだけ彼女を気遣い、こまめに休憩を取りながら旅を進めていた。
「リィ、疲れていないか」
「大丈夫だよ。ありがとうお兄ちゃん!」
満面の笑みできゅっと手を掴むリィを見て、ティフォンはふと目を細めた。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「いや……、昔は弟もこうやって俺の手を掴んできたなと思い出していたんだ」
まだ幼い頃のガディウスは随分と大人しく泣き虫で、よく自分の後をついてまわっては、離されないようにと手を掴んできた。
(今のガディウスからは考えられないが……)
懐かしむティフォンに、リィはこてんと首を傾げる。
「お兄ちゃんには兄弟がいるの? いいなぁ、リィもほしいなぁ。家族って、一緒にいると寂しくなくなるんでしょう?」
「……リィは、家族の事も覚えていないのか」
「……うん。でもリィは寂しくないよ。だって今はお兄ちゃんがいてくれるもん」
笑って喜ぶリィに、ティフォンは複雑な面持ちで彼女の足元に伸びる影を見つめた。
本当はリィにとって、ガランダスが家族と呼べる存在のはずなのだろう。
彼女の影に潜む龍を思っていると、リィにクイクイと手を引かれ意識を戻される。
「ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんの家族は他にもいるの? 家族って、お父さんとお母さんもいるんでしょう?」
どうやら家族というものに興味を持ったらしいリィは、キラキラした瞳を向けてくる。
ティフォンは少し困ったように苦笑いを浮かべた。
「いや、俺の家族は弟だけだ。母は幼い頃に亡くなってしまったし、父は……」
そこでティフォンは、父親について何も知らない事を思い出す。
(物心付く頃にはいなかったし、母さんも何も言わなかったな……どんな人だったんだろうか)
もし生きているなら会ってみたいと思いながら、ティフォンはリィと手を繋ぎ天城への歩みを進めた。

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